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…奈美と理央がはしゃいで出て行き、秘書室に一人残された私はデスクに着いて、メールの確認を始めた。
渉さんが会議から戻って、次の予定に出るまでに必要があれば報告しなければならない。
渉さんも随時チェックはしているけれど、漏れがないように二重チェックの意味で秘書の私も社長宛のメールを全てチェックするのだ。
メールの送受信をして、すべてを開く。
重要かつ緊急は2件。
私は関連資料を準備し始めた。
それが終わると、明日の社内での予定を見ながら、関係部署へ確認の連絡をする。社外の予定は変更がきかないのでここで調整するのだ。
それが終わる頃、少し会議が延びたようで慌ただしく、渉さんが戻って来た。
秘書室を通り過ぎる渉さんを追いかけながら、渉さんが前を向いたまま言う。
「時間がない。連絡事項は?」
「はい。16時からのメールは21件。そのうち緊急は2件です。内容は印刷して、資料と一緒に揃えてあります。どちらも今日中に連絡が欲しいとのことです」
言い終えないうちに、二人とも社長室に入り、渉さんがその資料に視線を落として、それをすぐに鞄に仕舞った。
「他には?」
渉さんはもう鞄を手に出て行こうとする。
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