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「望愛、あんた、私たちを誰だと思ってんの?」
奈美がそう言って視線を私に向けたまま、ビールを喉に流し込む。
「誰だと思ってんの?」
続けて理央も同じ仕草。
私は二人の刺さるような視線を交互に受け取りながら観念する。
「奈美様と…理央様です」
「そのとおり」
「そのとーり」
奈美と理央はグラスを下ろし、テーブルに散らばったお惣菜のパックやスナックの袋を開け始める。
「望愛がキレイ好きだってことは知ってるけど、片付き過ぎた部屋に空っぽの冷蔵庫。おまけに試供品の化粧水。これでよく私たちに隠せると思ったわね?」
「…あは」
「言っとくけど、望愛は綺麗好きで、どんくさくて、嘘が下手なの」
「…あは」
テーブルの上には盛り付け直されたお惣菜とスナックが、綺麗に並べられた。
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