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「明日の予定は今のところ変更ありません」
「わかった。今日のこの件でまた動くだろ、また連絡する」
渉さんは資料を仕舞った鞄を視線で指し示した。
そう、社長の予定は電話一本で急に動くのが常なのだ。
私はギリギリまで調整をすることになる。
「他には?」
渉さんは言いながら社長室を出た。
業務報告はここまでだけど…
今日はまだ…あるの。
渉さんの背中を小走りで追いながら遠慮がちに切り出す。
「あの…プライベートなんですけど、報告が…」
「何だ?早く言え」
そう言ってる間にもうエレベーターの前。
私はエレベーターのボタンを押した。
「…今日、西田さんと磯山さんと女子会…というもので、あの、私のアパートで…飲むことになったんです」
「ふーん」
渉さんのプライベートな返事だ。
「…いいですか?」
「ダメに決まってんだろ」
…え?
「バーカ、冗談だ。あほ。俺も今日は外で食べてく。サワさんにだけ連絡しとけ。たまには空気の入れ替えも必要だろ」
エレベーターが着いて、扉が開く。
私がボタンを押している間に渉さんが乗り込んだ。
「気にしねえで楽しんで来い」
そして渉さんは声を潜めた。
「…お前なしで寝るの…か」
見送りはここまでの予定だったけど、私はそのままエレベーターに乗り込んだ。
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