オバケ

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何回かコール音が耳に触る。 次には渉さんの声が流れ込むかと思うと耳までもが少し緊張する。 そして、休日で少しゆっくりした口調の渉さんが電話に出た。 『親父の客が来るし、そっちに行く。俺も挨拶くらいしとこうかと思ったけど、今日はもう休むって決めた。そっちで休む』 「わかりました。待ってます」 電話を切ろうと思った瞬間、声はしないけれど、渉さんが受話器の向こうできっと笑った。 『ああ、待ってろよ。…覚悟してな』 そして切れる電話。 もしかして… 本当に… …覚悟が必要かもしれない。
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