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「…おい」
…ん。
「…お前」
…遠くで…
…声がする。
脳の奥にぼんやりと響く声に気が付いて、ハッとした瞬間、今度ははっきりと聞こえた声。
「ふざけんな」
私は慌てて目を見開いて意識を手繰(タグ)り寄せる。
「あ、ごめ、ごめんなさい。寝るつもりなんてなかったのに…横になったら寝ちゃいました…。すみません」
慌ててカラダを起こして、ソファに浅く腰を掛けていた渉さんと向き合う。
「バカかお前。寝てるのは構わねえけど、『鍵』。…かかってねえよ」
「あ、あ、あの…すみません。寝るつもりなかったから…」
「前に言ったよな?」
渉さんがカラダを浮かして私に覆いかぶさりながら、私を再びソファに埋(ウ)める。
「掛けてなかったら…どうなるって言った?」
渉さんの視線が私の胸の奥にまで突き刺さる。
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