オバケ

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返事を待たずにドアは開けられる。 部屋に入った渉さんは私の隣に滑り込んだ。 そして、黙って私を引き寄せて私を背中側から抱きしめる。 渉さんが自分の鼻を私の首筋に擦り付けた。 「…望愛の匂い」 「…私の…?」 「ああ」 そう言って渉さんはさらに深く顔を埋(ウズ)める。 「…なんか…メチャクチャ眠くなってきた…」 私も…。 渉さんの体温が私の脳をぼんやりさせる。 「…おやすみなさい」 「ああ、おやすみ」 私たちはお互いの存在に安心するかのように深く、心地いい眠りに落ちていく。 これが私たちの… …穏やかな週末だった。
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