オバケ

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「確かに顔はイケてるけど、アレは見るからに遊んでる顔。さらに会社でも噂になるほどなのに…それでも彼に惹きつけられちゃう何かがあるのかも」 「…魔力…みたいな?」 「そう、不思議な力を持つ…まさに…『モンスター』じゃない?」 ふざける理央に私は思わず大きな声で反論した。 「違う!違う!モンスターじゃない!」 「あはは。望愛ってば必死に否定しちゃって」 「かわいいーわね」 「…とにかく、そういうのはモンスターじゃないの」 「はい。はい。望愛の愛しいモンスターは一人ね。そうね。あはは」 「はい。はい。ムキにならない。じゃ、彼は『オバケ』ね。オバケ。あはは」 「いーね、オバケ!」 酔っている二人はもうメチャクチャだ。 でも… 私にとって… モンスターはたった一人。 誰も… 渉さんと同じになんてなれない。 渉さんのようにもなれないの。
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