オバケ

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室長の視線の先に目を向けると、渉さんがちょうど秘書室の前を通り過ぎるところだった。 渉さんは一度ドアの前を通り過ぎると、一歩戻ってドアから顔を覗かせた。 そして、私と室長を交互に見る。 「…イチャついてねえだろーな?」 「わ、わた、社長!?」 どもる私の奥で室長は意味ありげな表情をつくった。 「…ご想像にお任せします」 「菊森、殺す。桐谷、コーヒー」 渉さんはそう言って行ってしまった。 「もう…室長」 私が振り返って言うと、室長は口元を覆って笑っていた。 「アイツ…からかい甲斐があるな」 室長… いろんな意味で… 性格が変わって来てるかもしれない…。 そう思いながら私はコーヒーを入れるために給湯室に向かった。
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