オバケ

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給湯室で渉さんのコーヒーを入れながら室長のことを考える。 あんな風に冗談を言う室長の本心はわからないけれど、 室長の…目。 あの雨の日に見た深く悲しみに満ちた目を見てから、 室長の目をまっすぐに見るのが少し怖かったけれど、 さっきの室長の目は… 優しい言葉と表情そのままを映した 本当にあたたかい瞳だった。 あの日から遠慮していた私と室長のアイコンタクトも 本格的に復活させていいのかもしれない。 …させるべきだと思った。 そう決意したところでお湯が沸き、私は渉さんのカップにお湯を注いで、たっぷりのミルクを足した。
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