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彼が秘書室を出て、エレベーターに乗るのを見届けると、再び鳥肌の波が全身を這(ハ)った。
人の噂はあまり信用しない方だけど、
彼は本当に…
噂通りの人なのかもしれない。
『遊び人』
だけど、噂と違いそうなのは…
そうと知りながら彼に惹かれてしまう魅力がありそうなこと。
今の彼にそんなことは微塵も感じなかった。
彼に惹かれるなんて…
有り得ない。
「…お昼…行こ」
私は独り言を呟きながら彼からもらった資料をもう一度綺麗に揃え、社長室の渉さんのデスクに置いて食堂に向かった。
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