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「…何これ?」
「…盗撮?」
「…変態?」
二人は揃って眉間(ミケン)にシワを寄せた。
「『お話ししたいことがあります』って、こっちには話すことなんかないっつうの」
理央は画面に向かって毒づいた。
「そうそう、こんなのほっとけばいいのよ」
奈美も前のめりだったカラダを勢いよく椅子の背もたれに戻した。
「でも、でも、…ほっといたら…このメール、社内の他に回ったりしない?なんか嫌がらせとか?あっ!!もしかして、渉さんのことを好きな女子社員!?『手を出すな』とか?『あんたは社長にはふさわしくない』とか?やだ、どうしよ?どうしたらいい?」
なんだか一気にいろんなことが頭をよぎった。
私は二人みたいに落ち着いてなんかいられない。
なのに、二人は私を見て苦笑い。
「ちょ、ちょっと、望愛。落ち着きなさいよ。あんた、パニクってるから順番に言うけど、まず①呼び出されたここには絶対に行っちゃダメ」
「②相手は女かもしれないけど、男かもしれない。いろんな意味で危険だから絶対に行かないこと」
「③ほっといたって大丈夫。この写真は社外でのものだし、望愛たちは別に悪いことをしてるわけじゃない。…いざとなれば、別にバレたって構わない関係なんだから」
「…わかった?」
「わかった?」
二人が同時に私を見る。
「…本当に…大丈夫かな…?」
「大丈夫。とにかく、今は相手にしない方がいいよ」
「そうそう、一度無視して、相手がどう出るか…だけどね」
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