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そして…
時間。
私はネイルが乾いたことを確認してスリッパを履いて静かに部屋を出た。
渉さんの部屋のノックをする。
会社の社長室よりもよっぽど緊張してしまう。
返事はないけれど、十分な間(マ)を置いてドアを開けた。
「失礼…します」
これは職業上、どうしても出てしまう一言らしい。
「もう少しだ。待ってろ」
渉さんはキーボードを叩きながら言った。
「はい…」
私はベッドに静かに腰を下ろして、なぜかかしこまって姿勢を正した。
すると、そんな私が視界に入ったのか、渉さんがクスクス笑いながら私をからかう。
「脱いでて待っててもいいけど?」
「ぬ、脱ぎませんよ!!」
「あ、そ。ま、脱がすのもおもしれえから」
渉さんは笑ったままの顔でキーボードを打ち続けた。
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