2091人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
渉さんがゆっくりとアルバムの表紙をめくった。
少しだけ変色した白い台紙に貼り付いた…
幼い笑顔。
アルバムの中の男の子は、私の知らない男の人と女の人に囲まれて、満面の笑みで笑っていた。
その一枚を見ただけで、鼻の奥が痛くなって…
薄い涙の膜のせいで、男の子の笑顔が滲(ニジ)んでしまう。
渉さんは写真を見つめたまま言った。
「俺の…もう一人の親父とお袋。5歳の時、俺がクリスマスにせがんだプレゼントを買いに行って事故で死んだ」
言葉が…
出なかった。
最初のコメントを投稿しよう!