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狩猟ナイフがいくらか?の問いに
ビルは一言も答えず夕飯を済ませ
ベルが洗い物を終わらせる
(教えてくれても良いのに……あっ、でも僕が旅にでたら、どうやって父さん飯つくるんだろ?店の書類整理の仕事もあるし………)
自室に戻ろうとしたベルだったが
先に自分の書斎に戻った
ビルの元へと足を進める
扉の前でどう声をかけようか
うろうろと悩んでいると
「なんだ?入らないのか?」
気配を感じたのか扉の向こうから
ビルが声を掛ける
「し、失礼します」
恐る恐る部屋に入ると
ビルは部屋の机でカリカリと
メジャーメタルの発注書を
【一般的に普及している鉱石】
纏めていた
「父さん………部屋の中でぐらいサングラス外そうよ。」
ベルは呆れた顔で
ビルの背中を見つめる
「ヌゥハハハ、やかましい!これは俺のポリシーだ!……それで?そんな事を話に来たわけじゃねぇんだろ?」
ベルはベットへ腰を下ろすと
今だに書類整理を続けるビル
の背中を見つめぽつりぽつりと
語り始めた
「僕がハンターになったら…………父さん一人になるし、それに店の書類整理やそれに!」
そこまで話すと不意に
ビルが立ち上がり
つかつかとベットに歩み寄ると
ベルを抱き締めた
「大丈夫だ。俺のことも店の事も心配するな、お前はやりたいようにやればいいんだ、旅に出たかったんだろ?」
「父さん………」
ベルの中に孤児だった自分を
拾い今まで良くしてくれた思い出
ハンターになりたいと言う
願いを汲み取ってくれた
ビルへの感謝が渦巻き
自然と涙に変わりビルの
タンクトップを濡らす
「おう。無茶はするんじゃねぇぞ?」
一頻り泣いてグジュっと
鼻を鳴らすと涙腫れした目で
ビルを見上げる
「わがっだ!!」
ビルのサングラスから
ポロリと一粒の涙が流れた
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