小さな種

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「ベル・フロルドかの、聞き覚えはないのぉ」 顎に手を当て首を傾げる 「して小僧、頭を抱えてどうしたんじゃ?」 頭を抱えヴゥっと唸りつづける ベルに問い掛ける 「なんか、胃がムカムカして、頭が痛いんです.....」 涙目でジョッシュに告げる ジョッシュはカカっと笑うと おもむろに台所へと向かう 「それは二日酔いじゃ、昨夜あれだけ蜜酒塗れになっておったんじゃ、無理もない」 鍋を取り出すと釜戸に火を付け 楽し気に調理を進める 「蜜....酒ですか?あっ!あの甘ったるくて鼻につく匂いのする液体!?アタタタッ」 顔をバッと上げるも 頭痛に襲われ再度頭を抱える 「気持ち悪い.....」 調理の手はそのままに 首だけ振り返る 「なんじゃ、蜜酒を知らんのかの?まぁそんなとこにしゃがんどらんとこっちに座らんかの?」 台所の横に置かれた4人掛けの テーブルへとベルを招く 「はいっ......」 ベルが苦しそうに項垂れながら 椅子に座るとひと段落ついたのか ジョッシュもカップを両手に 椅子へと座った 「スズミの花弁を煎じた物じゃ、ほれ、多少楽になるぞぃ」 片方のカップをベルの前に置くと 自分もズズッと飲み始める 「うむ、やはり香りがたって美味いのう、どうしたんじゃ?飲まんのかの?」 「あっ、頂きます!」 ジョッシュに促され 恐る恐るカップに口をつける 「本当だ.....おいしぃ!花の香りが口一杯に広がって少し口に残る苦味が癖になりそうです!」 ベルは笑顔を浮かべ ほっと息を吐く 「ほぅ!意外に舌が肥えとるようじゃの、カッカッカ。」 カップを置きベルを見つめる 「小僧よ、どうして蜜酒まみれじゃったんじゃ?」 うっ、と肩をすぼめ ゆっくりとカップを置く 「やっぱり、話さないとダメですか?なが「長くなっても構わんわいの、弟子にして欲しいんじゃろ?」 「うっ......分かりました。あれは5日前に..... ......... .....
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