小さな種

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豊富な物資や新鮮な魚が 飛ぶように取引される港町ネラル 《人間》 【身体に変化を持たずマナを取り込める身体に進化した人種。身体能力は低いが透魔率が高いのが特徴】 や 《魔人》 【先祖返りを引き起こし身体の一部や全身が魔獣、精霊の特徴を受け継いでしまった人種。身体能力は高いが透魔率が低い】 が暮らす活気溢れる町 しかし悲しい事に活気ある街ほど 裏側は悲惨なもので魔人達が 差別される悲しい街でもある そんな町の鍛治商会で 少年ベルは働いていた 「ベェェエルゥゥウ!!サボってねぇでそこの樽3つ担いで2Fにあがって来いぃい!」 身長180cm前後 太陽に煌めく禿頭 フレームの細いサングラス タンクトップから溢れる胸毛 そして逞しいマッスルボディ 「ビル社長ぉぉお!何度も言いますけど僕は事務担当ですってばぁぁあ!!」 このマッチョメンこそ この街一の変わり者 ビル・フロルドである 「やかましいっ!手が止まっとるぞぉお!書類整理を再開せんかぁぁ!」 元はしがない鍛治職人 今や貿易商の社長にして 魔人や人間に分け隔て無く接する 数少ない人間でもあり 孤児だったベルを保護し 名付け育ててくれた恩人でもある 「りょぉぉかいしましたぁぁぁあ!....あれがなきゃいい人なんだけどなぁ、はぁ。」 先程からムダに叫んでいるのは この店の構造のせいである 全長50m×40m高さ15mの3F構造で 商業スペースが 1Fの半分が武器・LC・鎧 2Fの1/3が整備・便利用品 の売り場に分かれている 1Fの黒樫の一枚板のカウンター を挟んだ裏側には事務スペースと 鍛治場が2つ溶鉱炉1つ設置され 2Fの一部は溶鉱炉投入口までの 吹き抜けとなっている 2Fの空いているスペースには 溶鉱炉へと流すための鉱石が 所狭しと並んでおり 倉庫として活用されている 3Fは居住空間と社長室、 ビル自慢の海水汲み上げ式大浴場 からなる中規模鍛治商店である 「社長ぉぉおお!フランベルジュとククリ、来月迄に完成できますかぁぁぁあ!?」 ビルが吹き抜けから顔を出す 「当たり前じゃぁあ!最高の品に仕上げてやるわい!ヌァハッハッハ!」 ビルは顔を引っ込めると ガラガラと溶鉱炉へ鉱石を 投入し溶けて混ざった鉱石を 1Fの職人達がインゴットへと 加工し積み重ねていく
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