小さな種

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ベルも搬入した鉱石の伝票整理や 依頼書の整理に没頭していた時 ゴーンゴーンと日没を報せる 港の鐘が鳴り響き 溶鉱炉の火が落とされた 「ベル!今日はもう上がっていいぞ、風呂でも浴びてこい」 いつの間にか1F迄降りて来ていた ビルがベルに声を掛ける 「はーい。それじゃ先に風呂行ってるね!父さんも早めに切り上げなよー!」 書類を纏めつつ 職人達には帰るように指示出し 槌取り出し火事場台に向かう ビルに声を掛ける 「おう!」 カーン......ココン.....ガンッ! カーン......ココン....ガンッ! ジュュワッッ!! 他の従業員や職人が帰る中 ビル一人が作りかけの鉄塊を とりだし槌を振る始めた (あれ?確か今日の依頼分は仕上がったと思ったんだけど?) ビルの行動に疑問を覚えるも ベルは階段を駆け上がり 風呂へと向かって行った 脱衣所で服を脱ぎ散らかすと 無造作に整えられた髪を掻き上げ タオル片手に浴槽へと向かう 身長160cmほど 引き締まった細い体のライン 背中に大きな古い火傷跡 ベルの孤児時代の悲惨さが 安易に想像出来る悲しい傷跡 掛け湯を済ませると ピョンと浴槽へ飛び込んだ 「ふぅぅぅーーー.......癒されるぅぅうう」 ベルが濡れた黒髪を掻き上げると 髪の間から小角が二つ顔を出す ベルが魔人で有ることを裏付ける 最大の特徴である (意外と書類仕事も重労働なんだよなぁ......にしても、父さんなに作ってたんだろ?農具かな?片手剣?) 「んーわかんなぃーでも、武器片手に荒野を駆け巡る狩猟ハンターとか未開の遺跡を探索する探索ハンターもかっこいいよなー」 間延びした声が浴槽へ響く 浴槽の淵へ顎を乗せ 「旅……出たいなぁ.....」 ぽつりと呟くのであった
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