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無作法に割り込む舌は賤しい音を立てはじめる。
体内をかけめぐる血は沸騰して、微かに見開いた先に見えた野蛮で、それでいて妖艶に歪められた眉間。
渦潮のように意識を掻き乱して
それでもなお、全くといいほど足りない。
無限に広がっていく自身の欲の塊に萎縮しながら、理性とは裏腹にを必死に吟味するように動く口内のそれに応えている。
自身が放ったとは到底思えない声が異様なまでに鼓膜に響きわたる。
ベットへと誘導され、おもむろに倒されたと共に
艶やかなベールを纏いながら離れた唇は、惜しそうに唾液の弧が引いている。
我に返るや否や、こもりきった熱が言い表せないもどかしさに変わり、羞恥という避けられない魔物を背後からじくじくと感じるのは、
今先ほどまで官能的だったはずの彼は、手の平を返すように憎たらしいほどの笑みを浮かべているからだ。
「…なに笑ってるんですか」
「えー、そりゃニヤけたくもなりますよ。だって鈴ちゃんがここまで積極」
「やーっ!」
「なんで恥ずかしがってんの。今からが」
「わーっ!!やめてやめてやめてー!!!」
勢いよくその口を塞いでみたものの、どこ吹く風かと言わんばかりに嬉々と剥がす彼は、もはや厚顔無恥と形容してもいいかもしれない。
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