第5話

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辰巳さんは優しく抱きしめると、再び優しいキスをくれた。 その日の帰り道、私は車を運転している辰巳さんに、聞いてみた。 「そういえば、フィアンセってなに?」 「あぁ、それな。」 「ただのリーマンじゃないの?」 「俺はただのリーマン。親父が、特別でな。簡単に言えば、お金持ちのボンボン。」 「・・・・・・。」 「でも、親父の仕事を俺は継ぐ気はない。親父もわかってるから、好き勝手やらせてもらってる。」 「・・・・で、フィアンセって?」 「親父の取引先の、お嬢様なんだよ。でも、あいつが勝手に言ってるだけで、両家の親にその気はない。」 「・・・・・そうなの。」
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