第5話

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初詣は、人が多くて今にも押し潰れそうになる私を、辰巳さんは可笑しそうに笑っていた。 でも、はぐれそうになったら、手を繋いでくれた。 その手は、車に乗るまでずっと、繋いだままだった。 年明けすぐに仕事が始まった辰巳さんは、あまり会えないことを謝ってきた。 気にせず仕事してというと、電話とメールは絶対にすると笑った。 私は辰巳さんが仕事で頑張っている間、必死に勉強して見事大学に合格。 気付けば、季節は春。 高校を卒業し、今は春休み。 辰巳さんと久しぶりにデートをすることに。 合格のお祝いと卒業のお祝い。 大人なデートに、困惑していた時期もあったが、今ではだいぶ慣れた。 辰巳さんの事も、信じている。 でもまだ、告白の返事はしていない。 高校を卒業するまで、言わないと決めていた。 一つの区切りとして。
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