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「誰だ!…お前!」
男はそう鋭い声で私に問いかけてきた。
私は一瞬夢の中から現実に戻されたような勢いで我に返ると焦りの色を隠せずただ俯いてしまった。
「…うっ!」
その瞬間男は右腕を抑えながらうずくまるのが見えた。
私は思わず窓の外に身を乗り出し…。
「どうかしましたか?」
っと男の状態を暗闇の中探った。
すると右腕の服が破れ明らかに服の色とは言えない色が黒く浮かび上がる。
「ケガをしているのね?待ってて!」
私は慌ててベッドのシーツを破くとある程度の感覚をおきながら駒結びをし長いロープ状の物を作りあげた。
それを窓の外に垂らすと私は小さな声で男に話かけた。
「これで登れるかしら?でもケガしていて力が入らないかもしれないわね…。けど私はここから出る事が出来ないの。お願い。頑張って登ってきて欲しいの!あなたを助けたいの!」
私は必死な思いで男にそう言うと男は右腕を抑えながら私の垂らしたシーツへと歩み寄ってきた。
すると彼は最後の力を振り絞るかのようにシーツにしがみつきながら登ってきた。
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