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「そうよ…私は寂しい人間…。まるで籠の中に閉じ込められた鳥と一緒。ここから出ることさえ許されない。羽をもがれて窓を開けても飛ぶことさえ出来ない。それが私の人生なの。」
何故こんな事を言ってしまったのか自分でも分からなかった…。
彼に自分を知って欲しかった。
彼に気付いて欲しかった。
…助けて欲しかった。
そんな思いがどこか心の中にあったのかもしれない。
私は彼の瞳を逸らす事なく黙って見つめていた。
そして彼もまた私の瞳を黙って見つめていた。
何も言うこともなく…
ただ黙って…。
どの位の時間が過ぎたのかその時の私には分からない。
やがて彼は私の体か離れると右腕を抑えながら右足を立て近くの壁にもたれ掛かった。
「ごめん…。」
そう一言つぶやいた。
謝る事など何一つしていないのに…
何故謝るのか私には分からなかった。
そして少しだけ彼は頭を上げた。
「俺の名前はシュリ。あんたは?」
「…ティファ。」
これが私とシュリの出会いだった。
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