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入れ替わりにサト君がシャワーに行ってる間、あたしは、一人がけのソファに腰かけてた。
テレビのリモコンを渡されて、適当にチャンネルを変えてみたけど、何も頭に入ってこない。
結局、サト君が見てたニュース番組に戻して、ぼーっとしてた。
十五分も経たないうちに、バスルームのドアが開く音。
背後から伸びてきた手が、あたしの手からリモコンを取り上げた。
かすかな音を立てて、テレビの画面が暗転する。
後ろから肩に回ったサト君の手が、あたしに立つように言ってるみたいで。
サト君の顔……近い。
髪が濡れてる。
「おいで」
ささやくような声で呼ばれて…あたしは、ソファから立った。
なのにそれ以上は、自分からは動けなくて。
サト君はためらうあたしの腕を軽く引っ張る。
緊張しすぎて、体が自分のものじゃないみたいだった。
部屋にあるのは、大きなダブルベッド。
沈みすぎない、ほどよい硬さ。
手をついて感触を確かめたあたしの肩に、サト君の手がかかった。
肩を後ろに引っ張られて、あたしは半回転してベッドに倒れ込む。
目の前にサト君の顔がせまる。
反射的にあたしは目を閉じた。
唇を割って入り込む柔らかい感触。
生温かくて…少し、甘い。
それと同時に、首筋から肩を手がなぞっていく。
「…ぁの……明るい……」
唇が離れた時、やっとの思いであたしはそれだけを言った。
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