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中途半端だ。
あれ?
なんでそんなに、恵琉より強くならないといけないのだろう?
リュックサックとショルダーバッグを提げている両肩は、重いと言っている。
飛行機に乗るのは初めてだ。
…あ?
何で飛行機に乗るんだ?
合宿だよな。
どこにいくのだったか?
記憶が、混乱している。
何かがおかしい。
アパートの階段を下りだしたところで、めまいを感じた。
荷が重いせいか?
体は丈夫な方なのであまり病気には縁がない。だから、気にしなかった。
だが、一段降りるごとに、めまいがひどくなる。
あと、5段で地面につくというときに、ついに、こけた。
階段が目前に迫る。手をつこうとしたが、そこで、目の前が真っ暗になった。
しばらく気を失っていたようだ。
やたらと心地の良いところにいる。
暗いな。真っ暗だ。
…まてまて、それはおかしいじゃないか?
冷たい地面か、階段にいないと、おかしいだろう?
光が見えた。人の声もする。
光の方に行くと、周りがだんだん生暖かく、ヌメヌメしてきた。
光の見えるところは、上下に割れるように開いたり閉まったりしている。
白くて硬そうなついたてみたいなものが並んでいて、これも上下に動いている。
異様な光景だが、不安感や恐怖感は感じない。安心感がある。
とにかく、出てみないと始まらない。
鞄を引きずりながらそこから出て見た。
ヌュルン
と、しか言い様のない感覚が体に伝わる。俺はその時、身体中が、
ニュルン、ニュルン
と、いう感じになっていた。
プクプクした出口を、
ぬろーん、
と、舐めるように、体でこすりながら、
外に顔を出した。
頭が出たところで、周りを見る。
「うお?」
俺は思わず声が出た。
地上から1メートル以上高いところから顔が出ている。
周りは、古い日本家屋のようだが、床は板張りで薄暗い。
俺はそんなことに驚いているのではない。正面に、きれいなお姉さんがいる。
おまけに、すぐ近くから、女の呻き声が聞こえる。俺の後ろからだ。
振り返るには、もう少し頭が出ないとむりだな。
そんなことを感じている間に、体はヌュルヌュルとどんどん出ていく。
床より高いところなのに、体は床に落ちる感じはしない。
俺は振り返った。
若い女性が立っている。
美形だな。
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