第八十話 それぞれの目的 (後編)

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数が多い分、闇の種族達には光の種族以上に食料が必要だった。 「急に攻めて来たのは、食料などの物資が不足し始めたからか……ならば……」 長期戦に持ち込めば、彼らは撤退せざるを得なくなる。 そう考えたストーグは、自分がいる島の守りを固め、長期戦に持ち込もうと考えた。 「長引けば長引く程……奴らは厳しくなる……」 ストーグ達のいる島の後方には豊富な海洋資源があった。 豊かな漁場、島には過去の人間が受けた果樹園がある。 食料には困っておらず、何とかここを防衛すれば、彼らを撤退させる事ができるとストーグは思っていた。 「昼間は奇襲をかけ、夜間は守りに徹する……それをすれば……」 この作戦は上手くいく事になった。 しかし、数日経ったある日の夜。 その考えが甘かった事を彼らは知る事になった。 その日の夜、突然大きな地響きが島を襲った。 ≪―――ズンッ!≫ 島にある全てを何かが震わせた。 半分に割られたヤシの実の中にある液体が波打ち、外の木々も建物と同時に揺れ動いた。 部屋の中でヤシュトーと共に様々な作戦を練っていたストーグは驚いて立ち上がった。 「何事だ!?」 すぐにマーマンが入って来た。 「大変です!島の防衛網が突破され、何者かが島に上陸して来ました!」 ストーグとヤシュトーは驚いた。 「何だと!?」 「っ!?」 ストーグはマーマンに尋ねた。 「それは島のどの辺りだ!?」 彼は答えた。 「北側から奴らは上陸を開始したとの事です!」 ストーグはすぐに決めた。 「よし、ならば全ての者を南へ移動させろ!一部の戦士は先に移動して、南側の海域の安全を確保するんだ!」 「分かりました!」 マーマンの戦士は走り去った。 ストーグはヤシュトーの事を他のマーマンに頼むと、自身は陣頭指揮をするため、北側へ向かう事にした。 「ハルフゥの魔道士は半数を南へ!半数は私と共に来てもらう!」 「分かりました!」 彼らはすぐに行動を開始し、それぞれが動いて行った。 そして北側へ向かったストーグは、目の前に現れた魔物を見て驚いていた。 「何だ、あいつは!?」 彼の目の前に現れたのは、巨大な魔物だった。 それは周囲の木々をなぎ倒して、夜の闇の中にいた。
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