第八十一話 白銀の楽園

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しばらくしてユラト達がやって来た。 「あっ、来た!」 ピュッケは先頭を走るユラトに声をかけた。 「ユラト!アレク達が危ないんだ!闇の人魚達がゴレアの館に!」 走るのを止めたユラトは、後ろにいるデュランに声をかけた。 「デュラン!アレクさん達がいる場所にもローレライが現れたらしい!」 デュランは、後ろに声をかけた。 「おい!俺とユラトは先にゴレアの館に行っているからな!お前らも来い!」 デュランの後ろをセラリス達が走っていた。 「ちょっと、待ちなさいよ!」 「はあ~……早いな……あの二人……」 「待ってよ……まだ私達……」 「デュラン、先に行って下さい!」 最後尾にいるエリーシャの声を聞いたデュランは、ユラトに声をかけた。 「行こうぜ、ユラト!」 「ああ!」 ピュッケは二人の前に来ると叫んだ。 「じゃあ、こっち!」 二人は妖精の後に続いて走った。 「ピュッケ、敵の数は!?」 ユラトが走りながら彼に聞くと、一人だと言った。 「一人か……なら……あの4人で何とかできるかも……」 デュランは頷いていた。 「そうだな……ミィーチェが魔道師だしな……」 ピュッケは羽の羽ばたきを強くして、輝いた粉を大量に生み出した。 「そんなの分かんないよ!オイラがいる時は一人だったって事があるだろ!」 三人が進んでいると、目的の館が見え始める。 先頭を行くピュッケは、敵の姿を見た。 彼はすぐに飛行の高度を下げ、ユラトに近づいた。 「おい、新手がやっぱり来てた!」 その言葉を聞いたユラトとデュランは、すぐに近くにある茂みに隠れた。 「………」 ユラト達はそこから館に近づき、壁に近づいた。 彼らは今、館の側面にある壁にいる。 その先に曲がり角があり、入り口が見えるはずだった。 ユラトは小さな声でピュッケに話しかけた。 「ピュッケ……入り口に敵はまだいる?……」 ピュッケは、小さな頭を動かして入り口の様子を確かめた。 「……えっと……」 彼の瞳に敵の姿が映る。 「まだいるよ!」 デュランが尋ねた。 「数は?……」
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