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(この女が元凶だ!)
思って間もなく、俺の視界に桜の木が映り、ぶつかると思った瞬間、頬が枝に刺し貫かれた。
「がはっ…」
俺の鼻や口から異物が飛び散った。
人は…
首を切り落とされても、1分40秒間は生きている。
それはもう…
俺には避ける事の出来ない[死の訪れ…]
桜の木は病院の2階並の高さだと言うのに、その女は今、俺の目の前に立っている。
女の肌は透き通る程に白く、風になびくロングヘアーと豊なバスト、体型が分かりそうな程に薄い衣装をまとっている。
(陽気な春の風が見せた、白昼夢であって欲しい)
夢や幻…
これが現実であって欲しくない。
けれど俺の口や目は、だらしなく開き放しだ。
かすれ行く意識の中で、俺の舌が掴まれて引っ張られ、指輪が乗せられる。
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