病室

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「これは私が貰った婚約指輪なの。私の婚約者は保険金目当てだったわ。私はあの人に殺されて…春になる前に命を落としたの」 指輪から黒い煙りのような禍々しいモノが出て来るが、女は構わずに言葉を続ける。 「この指輪に取り付いた水霊達が、私に新しい命を宿したわ。定期的に新鮮な贄を捧げれば、私はずっと…この世界に居られるの」 さらに女は、あの黒い煙の正体は、水霊と呼ばれる水の霊魂の塊だと、クールに付け足した。 その姿は一見すると黒い煙だが、良く見ると人々や動物達の顔のみが幾重にも重なって要り混ざっており、透明度が高い。 幾つもの顔が浮かんでは消えて、浮かんでは消えてを繰り返しながら、指輪のまわりを蠢き、次第に広がりを増して行く。 水霊が、複数の獣達の呻き声が1つになったかの様な音を出すと、キーンと頭の奥が鳴り響いた。
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