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蠢き合う水霊が、容赦なく俺の血管に侵入する。
血管内を通り、俺の鼻や目、耳の内側から水霊が溢れ出す。
毛穴と言う毛穴、全てに水霊が充満し、脳内から頭全体の細胞を侵食し、俺の皮膚を黒一色に染め上げる。
俺の胴体は病室のベッドにある。
看護婦の方は腰を抜かして、小刻みに震えてて動けない。
その看護婦にも水霊が迫る。
看護婦だけではない。
だって…
春の風に触れたくて、みんな窓を開けているから…
黒い煙りが水霊と言う名前の危険な化物とは知らずに…
水霊が、病院内にいる全ての生きモノ達を餌にしようとしているとは知らずに…
水霊の侵入を許してしまう。
花びらが舞い散る中、俺の頭は桜の枝に飾られたまま残されていた。
いつまでも…
いつまでも…
永久に安らぐ事は無い。
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