第3話*噂話

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――『私、伊東優と付き合ってるんだ』 この言葉を言わなければ、久恵と友が付き合うことはないと思う。 久恵は、友達の好きな人と平気で付き合えるような子じゃない。 だから、友が告白しても振るだろう。 ……友が久恵に振られれば、私にもまたチャンスがめぐってくるかもしれない。 でも。 逆にこの言葉を言えば、2人が付き合う姿を見る日が来る可能性も出てくる。 熱にうなされている間中、真剣に悩んで「友を諦めた」って言おうと決めたのに。 この場に及んで、私はまだこの言葉を言うのに戸惑ってしまう。 「じ、実はさ!私ねっ」 精一杯の笑顔を久恵に向けた。 幸せに見えるように。 好きな人と付き合えて、うれしくて仕方ない女の子の顔になってますように。 「伊東優と付き合ってるんだ!」 そう願いながら、一気に言葉を放った。
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