第1章

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 その後は特に何もなく、学校は無事に終わった。  当たり前と言えば、そうなのかもしれない。  でも、何故かほっとしている自分がいた。 「おぅ、溝口! なぁ、一緒に帰ろうぜ」  拓也が俺に話しかけてきた。そう言えば、こいつは西園寺さんのいじめについて何も知ってないんだよな。 「あぁ、悪い。俺ちょっと用事あるんだ」 「そうか、了解。また、明日な」  用事はないが断ってしまった。心の奥底に嫌悪の念があるのかもしれない。  少なからずそう思っている自分が少し悲しく思えた。  その日は結局一人で帰った。帰り道で高宮中学を通った。ここでは昔、殺人事件があった。それも目も当てられない惨劇だったそうだ。 ――自分の身近な所でも人が死んでいる。  そう考えたが、自分は悪いことしていないから大丈夫と小学生みたいな言い訳をして、その場をやり過ごした。  後ろの視線に気づかずに。
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