383人が本棚に入れています
本棚に追加
『…ピルカじゃないか。どうしたんだ?』
ロッジと呼ばれた青年は、声の主を見、にこやかな笑みを向ける
先程少年達に向けた、元気な笑い方ではなく…そう、この笑い方は【静】が見合う。
鮮やかな真紅色の髪が光を柔らかく吸い、輝く。
男性らしく全体的に短いのだが、顔の両サイドに流れる髪と襟足だけは長く、特に襟足の髪だけは足元まで伸びてそれを紫のリボンで結っている。
リボンの布はモスリンの様に柔らかく、中庭から吹き込む風にふわりと揺れた。
美しく整った顔立ちによく見合う優しくもはっきりとした目元。
菫色の瞳は、紅い髪そして健康的な肌によく見合い、名のごとく野に咲く菫の様に映えている。
すらりと高い背にぴったりと纏った修道服で特に目立ったのは右の腕に着用した青紫色の腕章ーよく見れば、修道士、修道女でも着けている者、そしてそうでない者が居るが…これは何の違いから生まれた差なのかは解らない。
しかし、首には此処の住人が生まれた時から身に着けているロザリオが、すべての聖職者の胸元で輝いていた。
最初のコメントを投稿しよう!