第一雫†聖なる地の聖なる青年

4/48
前へ
/1536ページ
次へ
『離せよ!!これは俺んだ!!』 『違う!!僕だ!!!!』 大きな聖ローザ大聖堂にぴったりの大きな大きな礼拝堂の中で、二人の少年が声を荒げていた。 二人の間にあるのは一枚の甘い甘いチョコレート。 ふたりの真ん中で奪い合われながら震え、割れそうだよと軋んでいたチョコレートがー……ふわりと宙に浮いた。 …否。 誰かに持ち上げられたのだ。 『こーらー。礼拝堂で大声出してるのはお前達か?』 一人の修道士が少年達の頭をわしづかみにすると、目線を合わせる様に座り込む。 その優しそうな瞳を見返した少年らは、嬉々の煌めきを各々の目に輝かせつつも 『だってこいつ弟のくせに生意気なんだもん!!!チビ!!』 『兄貴だからっていっつもいっつも偉そうなんだよ!!!!バーカ!!』 ーと喧嘩を続ける。 そんな二人の少年へ目を合わせる様に、青年は優しく頬を撫でながら自身へと身体を向かせた。
/1536ページ

最初のコメントを投稿しよう!

383人が本棚に入れています
本棚に追加