エピローグ

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「ちょっと!! 待ちなさいよ!! さっきの返しをしてあげるからっ」 闘牛のように怒りを振りまきながら追いかけ、捕まえたと思ったら、急に反転して。  新谷は、あたしの腰を抱きかかえた。 「七海、この近くにうちが経営するホテルがあるんだ」 「うん?」 「返しなら、そこでいくらでももらう」 「…、」 なんか、ソレ、S発言ぽくない? 「それと、今夜は帰さないから」 よく使われるありきたりな言葉なのに、みるみるうちに熱が頬に集まっていくのを感じた。 今、絶対、まっかっかだ。 「ぶっ、おまえ、リンゴみたい。 しかも品種は紅玉」 「う、うっさいな」 「俺さー、こういうお決まりなこと言ってみたかったんだよね。 ついでに、もう一つ言おっかな」 「ん?」 「今夜は寝かさないから」 確かに、よく耳にする台詞だ。
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