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ふと、左手の薬指にはまった指輪が目に入り、
あたしは何も考えずポロッと口にした。
「和也さんは、どうしてあたしを抱かなかったのかな…」
服を脱がせて、キスマークをつけただけで。
「できなかったんだよ、きっと。
もしかしたら、そのつもりだったのかもしれない。
でも、欲しいのはおまえの身体じゃなく心だと、
自分で気づいたんじゃないかな…」
新谷の真剣な声が、すごく胸に響いた。
「俺も泥酔したおまえを抱こうとしたけど、結局、できなかったし」
「へ? 何それ?」
初耳、ですけど?
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