第16話

9/25
前へ
/35ページ
次へ
*    *    * 翌日、あたしは喫茶店に和也さんを呼び出した。 和也さんからもらったものを全部持ってきて、 それをテーブルの上に差し出す。 「ごめんなさい、和也さん。 和也さんが心を込めて選んで、あたしにくれたものだけど…、 あたしの心は、別の所にあるから… だから、これらは受け取れない。 ごめんなさい」 和也さんはそれらを何も見なかったように無視。 注文したコーヒーを優雅に啜り、ソーサーに戻す。 「俺がすんなり別れると思ってるの?  はいそうですかって、納得すると思ってるの?」 和也さんは、きっとわかってくれる。 あたしは半ば祈るように、心の中で同じ台詞を二回言った。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1638人が本棚に入れています
本棚に追加