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「……それは、どういう意味でしょう?」
「愛はさ、優しいよ。でもさ、それって、私や療がするような優しさとはちょっと違うの」
「…………」
「丁寧なだけ」
「…………」
「壊れないように、そっと接してくれるだけ。そりゃ優しいよ、だって、楽だもん」
「…………」
「みんな平等。特別な人なんていない。同じように丁寧に、同じように愛を振りまく。そりゃあ、そんなことが普通にできる愛は、すごいって言えばすごいけど、それは人間のすることじゃない」
「…………私は」
「誰かを特別に思うなんてことは当たり前のこと。誰かを嫌いなるもの、好きになるもの当たり前のこと。でも、愛はそれをしない。それすら拒否して、そんなことを思わないように必要以上に踏み込まない。愛にとってしてみれば、ここの住民も、そこを歩いている通行人も同じなの。他人。愛以外の人。割り切ってる」
「……………」
「異常だよ。気持ち悪い。人間じゃなくて、まったく違う種族と話してるみたい。でも、ヒト型をしてる分気持ち悪さが際立ってる」
「…………桜さん」
「なに?」
「療を起こしてくてもらえますか? 朝食が出来上がりましたので」
「…………。愛、最後に聞かせて」
「なんですか?」
「大輔のことは好きだった?」
「はい」
春夏秋冬 愛は笑顔で言い切った。
「皆さんと同じくらい、好きですよ」
用意された朝食は大輔の分、しっかりと抜かれてあった。
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