way of life―first―

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「起きたか」 「それに、だいぶ落ち着いたよ」 「十全だ」 背中に投げる会話。これで成立することが恐ろしい。 「あんた、まるで後ろが見えてるように話すけど、第三の目でも開眼してんのか?」 「それは額にあるものだ。後ろは見えない」 「……決めつけるのはどうかと思うが」 「そんなもんなくとも、足音や衣擦れ、声さえ聞けばだいたいの状況は掴める」 「そんなもんか?」 「経験だ。一日何人相手にすると思ってる。その相手一人ひとりに向き合って話なぞ聴いてたら、仕事が進められん」 大輔がまた席に戻る。テーブルの上にはクッキーとコーヒーがそのままになっていた。コーヒーをすすると、やはりというか冷めている。冷たいコーヒーも好きだが、やはりここは暖かいのを、と思って二人分新しく煎れなおした。湯気が立ち上るそれを持って席に行くと、ちょうど神も席に戻るところだった。 無駄がない人だ。 「で、どこまで話したかな」 神はそういうが、この人が忘れるはずがない。ただ、会話を始める繋ぎをして、言っただけだ。大輔が言う前に、言葉を紡ぐ。
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