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「時間旅行者が動き出して、ほとんどは上手くいった。”落ちこぼれ”は広がり、意味を持ち始めた。過去のどこを変えればいいか、最初に打ち合わせしておいたから、そうそう間違わないはずだが、なにせ時間がなかったからな、万全とはいかない」
「……俺があったその人も、ちょっと間違ってたよ。来る時間を間違えたって言ってた」
「そうか」とコーヒーを啜る。「時間を戻る感覚は俺にもわからんが、その可能性も十分に考えていた。駅に降りるような感覚ではないらしいからな。行き過ぎ、手前すぎも計算の内だ」
「ただひとつ、俺に会うのは計算外だったか?」
「いや」
神は言った。
「その可能性もあった。ないと言い切ることはできない以上、それも含める必要がある。計算違いがあったとすれば、お前が変な魔術のせいで中途半端に防いだってことだな」
「仕方ない。未熟だったから」
「逆だ。優秀すぎた」
「さすがに親バカだろ? それは」
「親以外に親バカになれる奴はいない。だったら、その特権を十分に行使しようというのが正しいだろう」
「…………。続けて」
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