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「人間。その言葉通り、奴らは人と人の間に生まれた言葉だ。
ーーーー混血なんだよ。
多種多様、亜種特異。同種でない間に生まれた子ども。それが、人間だ。”落ちこぼれ”の中で、様々な規約があるが、中でも一番重きを置いているのはこれだ。『同種族間でのみ結婚が認められる』これが必要だった。これさえあれば、他は、魔魔術師がなにになろうと、構わなかった」
魔法使いと魔術師が。
テレパスと治癒能力者が。
死神と天使が。
恋すること許されるが、そこ先は許されない。結婚は、子どもを設けることは、許されない。
「混血は、なぜいけない? 血が薄まるからか? 魔術師が魔術師として、落ちこぼれになるからか?」
本当の意味での落ちこぼれ。無能になること。それを恐れていた? だが、神が首を横に振った。
「ある意味正しいが、間違いだ。俺たちは、恐れたんだ。人間を。可能性を持つ種族を」
「可能性?」
「お前の言うこともある。混血は、血が薄まる。だが、それ以上に、血が混ざり合うんだ。魔術師でありながら呪術師であり、かつ炎術師であり、さらに精神干渉者でもある。そんな人間が多数生まれた。どれもひとつひとつの力はその種族に比べると微々たるものであったが、可能性があった」
可能性。その種族を超える、可能性。
「『全ての力が使える人間が、いつか生まれる』それを恐れた」
この世に存在する全ての種族の血を受け継いだ、血が混ざり合り、薄まって、薄まったからからこそ、濃くなった、そんな人間。
「神様ですら、わからない種族を、これ以上増やさないように。それが、”落ちこぼれ”を作った理由だ」
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