1295人が本棚に入れています
本棚に追加
「ち、ちょっと待ってくれよ」神が言い切ったところで遮る。「それは、考えすぎじゃないのか? あまりに突拍子が無さ過ぎる」
「なにがだ?」
「まず、混血が生まれることが、なぜ世界を壊すことに繋がるのか理解できない。人間がみんな、それこそ血が混ざりあった人間はみんな攻撃性が高くなるみたいなことがおこったのか?」
神は首を横に振る。それはそうだろう。もしそうだったら、こんなにゆっくりと構えていられるはずがない。今生きている人間を皆殺しにするぐらいのこと言いかねないからだ。
「二つ目。混血をそこまで恐れる理由がわからない。さっき言ったじゃんか。ひとつひとつの能力は微々たるものだって。それが合わさったぐらいで、太刀打ちできないはずがないだろう?」
「俺こそ訊きたい。どうしてそう言い切れる?」
「え?」
「予想できないことに対して、どうしてそこまで悠長に構えていられるんだ?」
「それは……」
あんたがいるからだ、と言いかけて、やめた。神は、世界でも指折の魔術師だ。大輔よりも高度な魔術を使える。その中には、非常に攻撃性の高いものもある。一騎当千。それを体で表した人なのだ。それに、母親も同じだ。その二人が揃えば、できないことはなにもないと思っていた。
思っていたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!