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「確かに俺は言った。微々たるものだと。だが、それは今までそうだっただけで、これからはわからない。『これから、すべての能力を100%の状態で使うことのできる人間』が現れるかもしれない。それをなぜ、恐怖しない?」
「そんなのは……」
「ありえないか? まあ、確かにお前の言うことも正しい。そんな人間が生まれる確率は低い。私やお前が生きている内でそんな稀な出来事が起こるとは思えない。だが、これからはどうだ? お前が結婚して、その子どもが生きている時代はどうだ? その子どもは? そのまた子どもはどうだ? いいか、未来は繋がるんだ。それを俺たちは守っていかなくてはいけない」
「それはもう……神様の仕事だろう……」
未来を守るのは、これからを作るのは、それはもう人の手から離れている。関わっちゃいけない部分のように思える。だが、神は「違うな」ときっぱり言った。「それは、俺たちの仕事だ」
「…………」
「ひとつ、問題を残したままだったな。なぜ、混血が世界を壊すか。これはもう、お前は知っているはずだ。いや、見ている、が正しいかな」
「……見ている」
「もう世界は壊れ始めている。お前は、それを見ているはずだ」
……わからない。忘れてしまっている? 普段の生活を思い出す。なにか、異常はあったか。いや、そもそもなにが異常なのかわからない。さっきの時間旅行者のように、異変を普遍に変えられていることだってありえるのに。
いったい、なんだ?
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