1295人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前は、疑問を持ったはずだ」
神がヒントをくれる。「お前は特殊だ。改変の影響を半端に受けた者。だからそこ、我々に近いし、逆に遠くもある。皆が普通に思ったことも、一度は変に思ったはずだ。今は、慣れてしまっているがな」
変に思ったこと。”落ちこぼれ”になって、最下荘に入って、それでーー
「ーー桜。死神か」
「そうだ」神はゆっくりと頷いた。
百鬼 桜。本当の名前は『百百百百 櫻(ドドモモ サクラ)』。99人しかいないはずの死神の、百人目。
「まだあるだろう?」
「……大家さん?」
最下荘。しゃべる家。
「それに、慧さん」
神様を従える人間。
不思議に思い、いつの間にか慣れてしまった人たち。あの人たちがみんな世界崩壊の影響だというのだろうか。
「世界の崩壊は、なにも物理的なものばかりじゃない。むしろ、ルールから壊れていく。お前がさっき言った死神がいい例だろう。今までいなかったものが突然現れた。それだけでも脅威だが、もっと恐れることがある。しゃべる家のような『不完全』なものが、生まれ始めたんだ」
不完全。大家さんをそう言われて良い気はしない。だが、それを訂正できない。神が続ける。
最初のコメントを投稿しよう!