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「最下荘に、黒猫がいただろう?」
「脚斗さん? ……まさかあの人も」
「動物と人間が、不完全に混ざり合った状態とでも言えばわかりやすいかな」
黒子 脚斗。黒猫である人間でもある種族、動物人間の一人だ。動物『人間』の一人だ。
「不完全が生まれると、今まで正常だったものにも影響が出始める。……もうわかるな?」
「想一郎さん、だな」
テレパス。柚木 想一郎。『ある日突然力が強くなった人』。それゆえ、普段の生活が送れなくなった人。
みんな、犠牲者だったのだ。
「最下荘の入居条件はただ一つ。”落ちる”こと。だが、その”落ちる”に明確な境界線はない。理由は、見ればわかるからだ。審査はいらない。それほどまでに、抜きん出ているからだ。異常さが、際だっているからだ。公には『流れに逆らう』になっているが、これも大した理由はない。そこにいく人はみな、なにかしら『流れに乗れていない』からだ」
春の次は夏が来るように。生きていれば死ぬように。この世にある普遍的な『流れ』。絶対的なルール。それに逆らったものは、弾かれる。そして、”落ちる”。
”落ちこぼれ”となる。
そして”落ちこぼれ”となった彼らがいく場所が、最下荘だ。
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