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「可哀想だよ……あいつらが……」
療が。
桜が。
零が。
脚斗が。
想一郎が。
そして、愛が。
「もっと、どうにかできなかったのかよ……。特別扱いなんて要らない。でも、もっと改善できるところもあっただろう?」
改善。いったいなんの改善を望んでいるのだろうと思う。あの街の”落ちこぼれ”への対応は悪くない。むしろ聴いていたより良かったぐらいだ。暮らしも、問題ない。住む上でまったく問題ない。なのに、なにをして欲しいのだろう。
わからない。
でも、可哀想だと思ってしまうのは、自己満足なのだろうか。
神はなにも言わなかった。目を逸らしたのは、一種の怒りや後悔の現れだったのかもしれない。もっとうまくできははずなのにと自分を責めたように大輔は見えた。
それは全て自分に跳ね返ってきた。
時間。神にさえ簡単に操れないものを奪っていったのは、紛れもなく自分だ。大輔のせいで時間がなくなっていった。なのにそれを責める権利があるだろうか。
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