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「……愛も、保護なのか。親に捨てられて、傷ついているから」
出掛けたとき、みんなとはぐれてしまって二人きりになったとき愛は言った。
『両親を探して欲しい』
大輔の魔術では叶わなかったが、その願いはわからないでもなかった。親に捨てられる寂しさを、ほんの少しかもしれないが大輔もわかっていたからだった。それは勘違いだったけれど、あのときの大輔はそれに似た感情は持っていた。
「ああ、そうだ。あんた、愛の両親を探してやれないか? 俺は無理でもあんたほどの腕ならーー」
「ダメだ」
神は厳しく拒否した。
「俺にもできねえ。いや、世界中の誰にもできねえんだよ」
「……なんで」
「あいつに、親はいない」
「いない……って」
「お前、さっき言ったよな。なんでそんなに恐怖しているのかって。それに俺はこう答えた。『世界が壊れるから』と。その最たる例が、あの女性だよ」
「……どういう、意味だよ」
「あの少女と同じ種族を持つ可能性を持つ人間はあと1人いる。さっきも名前があがったが、神様を従える少年だ」
慧。それに、愛。
彼らはに共通するものは。
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