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  不思議に思うだろうが、平民が住む居住地と貧困街は、表裏一体。城からもギルドからも見える箇所が平民が住む居住地で、城からもギルドからも見えない奥にあるのが貧困街になる。 貧困街には、人間よりも獣つまり獣人が多い。奴隷として捕獲捕縛された者が逃げ込んだり、迫害された者の多くが住む。平民にも貴族王族ギルドにも差別され蔑視される日々、飢餓に苦しみ治療も放置される日々、貧困街にもギルドはあるが依頼を遂行しても罵詈雑言を浴びせられた上に依頼料は雀の涙。転生者も存在さえ知らない街。 例え転生者は知っていても、結局何も出来ない。貴族王族平民やギルドも敵に回し兼ねない。学園に通えない者達だからこそ、学園でも会わない。会った事がない。 少女は、神から貰った知識から知っていた。知っていたからこそ、出店した。貴族王族ギルド平民を敵に回しても構わない。常日頃から店を畳む用意は万端で、尚且つもし敵に回しても貧困街に住まう人達を連れ出して、彼等だけが住まう『国』を建立する計画を企てている。後(あと)は、貧困街にいる彼等を連れ出す機会を窺(うかが)うのみ。 貧困街でも、次第に客足は延びている。ギルドマスターや平民にバレるのも時間の問題だろう。それを理由にするのも一興だろう。少女は、バレるのを待った。ほくそ笑みながら。  
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