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  そういった、『生きた』酒に合う肴の好みは多種多様になるからまた難しい。 多岐に渡る酒の味や風味を、生かすかは客次第にして貰おうとリンは考える。酒と肴が、何(ど)れも相性の悪いものなら、どちらの味も生かせない。 試飲用の酒の為の肴は、小さな小皿に盛って添えている。但し、気に入った場合は買えるように、小さな防水性の壺を用意した。壺や器は、リンが森に落ちてあった木材等を世界樹の許可を得てから作っている。彫刻刀で彫る際は優しく、一気に削る際は風属性の魔法を使う。 小皿にある酒の肴は、『塩辛』や『ナムル』等を添えている。特に、この世界は烏賊や蛸は食べない。蟹も海老も食べない。魚は刺身ではない。焼き魚しかない。煮魚蒸し魚はない。烏賊の塩辛もないので、先ず市場に行けば捨てられる烏賊等を貰う。捨てられるものなので、無料。昆布も鰹節もないから、全て材料を探して作る。 調味料として出すものも、元々なかったもの。でも、数日もすれば慣れるものだけれど。 烏賊の塩辛は、耐火性の瓶に洗った烏賊の足や内臓等を入れて、塩を振る。火属性の魔法で焼いた金具でかき混ぜて熟成したもの。墨袋は、『水の日』で使っている。 最初は匂いがダメなのか近付かなかった人も、今は匂いに慣れたらしく気にしない。 匂いがダメならば、鼻を摘まんでから食べれば良かったのに。鼻には、匂いで味を覚える機能があるから。  
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