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  塩。この世界では、苦味が含まれる塩が、使われている。苦味が含まれてはいない塩辛い塩や、甘味のある塩はある。が、貴族や王族が買い占めていたり、製造者が身内に配ったりしているからか。平民以下に出回らない代物になっている。最早、幻の塩。 リンもまた、塩に関して悩んではいた。悩んだ末に、リンは広場に転移をする。広場にある噴水を調べる為に。噴水からは、水しか出ない。水は、地に落ちる寸前に消える。森にある植物に撒水するようになっている。そのような設定にしたのは、リン本人。噴水の底には、水が溢(あふ)れ出すように硝子玉や色のついた硝子玉に魔方陣を施したものを敷き詰めてある。その魔方陣を施したのも、リン本人。 然し、雨季にも撒水しては森にある植物は萎(しな)びてしまう。水をどうするか、それも悩んでいた。そこで、魔方陣を消して描き直す。水の代わりに、塩水が溢れ出すようにする。溢れ出した塩水は、地に落ちないように張っていた膜に当たると塩の結晶になるようにした。塩を取り除かれた水は、凍らせて氷になるようにした。そこで、問題になるのは氷と塩の結晶の保管。 リンは、森にある自身が住まうハウスに転移をした。そのハウスに、箱を二つ創造魔法で出す。一つは、ミニサイズの冷凍庫。もう一つは、創造魔法で出した除湿剤が入っている。両方とも白い色をしているが、ミニサイズの冷凍庫には『氷』、除湿剤が入っている箱には『塩』と記す。噴水のある広場に転移をして戻り、ハウスにある二つの箱に、各々入れていくように魔方陣を追加した。 見た目は、ただの噴水に見えるようにした。水に近付こうにも膜がある為、バレる心配はない。ただ、ギルドマスターが目敏(めざと)いが。バレた時に、対処する事にする。  
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