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  日本の塩は、古来から海水から塩を取る。そして、その塩田は今でもある。そういった苦汁(にがり)を含む塩になるのだけれど。森に住まう生き物にも、実は塩は必要不可欠なものらしくて。世界樹から期待されている。 ハウス内に、空いている部屋は幾つかある。その中の一室の壁に、海に直接通じるように穴を開ける。穴を覗けば、海面が目と鼻の先にある。海からは、この部屋に入れないようにしてある。波とか海洋生物が来たら大変だから。部屋全体に、防水と耐火と除湿の魔法陣を施す。鉱物が混じった煉瓦で三つの四角の枠を作る。煉瓦と床に互いを接着するように魔法陣を施す。取れないように、漏れないように。 その四角に囲んだ枠の中に、創造属性の魔法で砂を出して砂地を敷き詰める。木製の板で作り強化と防水と防火と耐水と耐火の魔法陣を施した桶と硝子製のボトル数本と大竃(かめ)を、身体強化した両腕で物置部屋から運び入れる。 平らに均(なら)した砂地に、穴から海水を桶で汲み上げて幾度か撒く。火属性と風属性と光属性の魔法を使って、太陽の代わりに乾かす。水分を蒸発させて、塩分を砂につける為に。蒸発させた水分は、霙(みぞれ)状にして物置部屋から持って来たボトルに入れる。大竃に塩分のついた砂を入れて、また桶で海水を汲み上げ竃に入れて放置する。海水で砂についた塩分を溶かす為に。砂は、水より重いので沈む。そして、出来た濃度の濃い塩水を洗った桶で汲み上げて、ラボに用意した大きな釜に入れる。 時属性の魔法を使って、十時間以上掛かるのを十秒に短縮し煮詰めた出来たのが塩の結晶になる。 塩の結晶が出来る。足りない分は、創造属性の魔法でコピーするのだけれど。  
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